外科的気道確保マニュアル 第2版
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1 気道確保の方法 気道確保の方法として,気管挿管と外科的気道確保がある。 気管挿管は,口または鼻から経喉頭的に気管内に換気チューブを挿入留置するもので,最も広く普及している気道確保の方法である。迅速・簡便に気道を確保することが可能で,緊急気道確保や全身麻酔時などの気道確保の第一選択となっている。ただし,長期間の留置は上気道損傷や呼吸器感染の原因となり患者のアクティビティの低下につながるため,短期間の留置目的に行われる。また上気道の狭窄が生じた場合,気管挿管が不可能となることがある。 外科的気道確保は,気管挿管が不可能な場合の緊急気道確保と,長期気道管理,喀痰吸引さらに上気道手術時の一時的気道確保などに際して行われる待機的気道確保がある(図Ⅰ-1)。2 気道緊急 気道緊急とは気道確保の適応があり,無反応・無呼吸・瀕死の呼吸状態をいうが,気道緊急でかつ気管挿管が不可能の状態(挿管困難),すなわち挿管できない・換気できない状態(canʼt intubate/canʼt ventilate)が緊急時の外科的気道確保の適応となる(図Ⅰ-2)1)。ここでいう挿管困難とは,2回挿管を試みても不可能である場合を指す。気道確保 図Ⅰ-1 気道確保の方法気管挿管待機的気道確保外科的気道確保緊急気道確保長期気道管理喀痰吸引上気道手術時の一時的気道確保ChapterⅠ 外科的気道確保とはⅠ

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