外科的気道確保マニュアル 第2版
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アプローチ部位輪状甲状靱帯(膜)気管時間に余裕がない輪状甲状靱帯(膜)穿刺術可及的速やかに他の確実な気道確保へ穿刺法(経皮的アプローチ法)輪状甲状靱帯(膜)穿刺術経皮的気管切開術右方ほど確実な気道確保輪状甲状靱帯(膜)切開術12歳以下では原則禁忌a.出血傾向b.近接部に腫瘍や血腫があるc.輪状甲状靱帯(膜)を同定できないd.穿刺切開部位より遠位に気道狭窄がある注意すべき状態外科的切開法輪状甲状靱帯(膜)切開術外科的気管切開術外科的気道確保とは  3時間に余裕がある気管切開術 輪状甲状靱帯(膜)経由のアプローチは,手技は簡便であるが,輪状甲状靱帯(膜)の面積が小さいため,確保できる気道径に限界がある。また輪状・甲状軟骨損傷や喉頭損傷による遅発性合併症の可能性があり,長期間の気道確保には気管切開術が推奨される。 経皮的気管切開術は気管挿管されている状況で行う術式で,気管切開に切り替える際に用いられるので,気道緊急時には適応がない。 各種の外科的気道確保アプローチの特徴と選択のアルゴリズムを図Ⅰ-4に示す。 輪状甲状靱帯(膜)穿刺術は最も簡便であるが,確保できる気道径が最も細いため特殊な換気法を用いる必要があり,他のより確実な気道確保を引き続き行わなければならない。 また,輪状甲状靱帯(膜)経由のキットが市販されており,主に喀痰吸引に用いられている。キット製品は各種あるが,穿刺法と切開法の中間的な特徴がある。製品により緊急気道確保により適するもの,喀痰吸引により適するものがある。(岸本誠司・角 卓郎) 表Ⅰ-1 外科的気道確保法の種類 図Ⅰ-4 外科的気道確保法の選択Ⅰ

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