4 Chapter Ⅰ.外科的気道確保とは4 カニューレの種類 気管カニューレの種類は,気管切開の目的と患者の状態により選択する。■ カニューレの構造(図Ⅰ-5) カニューレの構造の中心をなすのは,呼吸路としてのパイプと,固定と脱落防止を目的としたフレームである。さらに使用の目的により「カフ」「内筒」「上部吸引ライン」「側孔」「発声用バルブ」がある(図Ⅰ-6)。フレームパイプ上部吸引ラインカフパイロットバルーン内筒スタイレット発声用バルブ 図Ⅰ-5 カニューレの構造❶パイプ:呼吸路を形成する。内径(ID)で表示される場合と,外径(OD)で表示される場合があり注意を要する。また,同じ径・種類のカニューレであっても,パイプの長さや弯曲が大きく異なることがあり,気管切開孔の性状と気管の太さ,気管切開孔の高さや深さ,腕頭動脈との位置関係を勘案して個々の患者に適したものを選択する必要がある。❷フレーム:綿テープや固定バンドで頸部に固定する。皮膚との接触による潰瘍形成に留意する。❸カフ:カニューレ先端にあるバルーンで,パイロットバルーンより空気を注入する。頭側では誤嚥物や分泌物のたれ込みを,尾側からは人工呼吸による陽圧換気のエアリークを防止する役割がある。❹内筒:取り外して交換や洗浄することで,長期にわたるカニューレ管理を可能にする。❺上部吸引ライン:カフ上に溜まった唾液など上気道の分泌物を吸引除去する。❻側孔:発声を可能とするためにスピーチバルブパイプの上方に呼気を導出する。下気管切
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