■ カニューレの種類❶カフ付きカニューレ:人工呼吸管理を要する場合や,気管切開術直後の血液の気管内への流入防止,誤嚥が著しく誤嚥防止を要する場合に選択する。カフは誤嚥を完全にせき止めることはできないことに留意し,誤嚥の程度により適宜上方吸引ラインより吸引を行う。また,カフ圧があがると嚥下反射は減弱し 3),また上部吸引機能やパイロットバルーンの存在が嚥下機能に悪影響を与えうる。 ● 呼気の流れ:発声用バルブが閉鎖し,呼気が声門を通過し,口腔へと吐き出されることで発声が可能となる吸気の流れ:発声用バルブが開いて,気管切開孔から吸気が下気道へ流入する発声用バルブ外科的気道確保とは 5側孔付きカニューレ開でアプローチしている症例や肥満症例など,皮膚から気管前壁までの距離が長い場合や気管内肉芽が生じている場合は,側孔の狭窄や閉塞により呼吸困難を生じることがあるので,留意する。❼発声用バルブ:パイプの出口に装着可能な一方弁(一方通行弁)を有する装置で,吸気時にはカニューレ内腔が陰圧となるため一方弁が開放され,バルブ部分より外気が体内に取り込まれる。一方,呼気時にはカニューレ内圧が陽圧となり一方弁が閉鎖し,呼気は声帯を経由して導出されるため,発声が可能となる。また,一方弁の使用は嚥下機能を改善し誤嚥を減少させる 2)。❽スタイレット:カニューレの形状を維持し,挿入を容易にする。スタイレットの抜き忘れによる窒息事故が報告されている。スタイレットはカニューレ挿入後,直ちに抜去する。 一重管:気管切開術直後や人工呼吸管理に頻用されるタイプである。単管であるため,外径と内径の差が小さく,内腔を広く保つ利点がある。一重管の特殊なタイプとしては可変式カニューレがある。シリコンなどの可塑性素材をらせん構造により内腔を支持し,圧迫やキンキングによるつぶれを防止することができる。肥満や気管の偏位など,既存のカ 図Ⅰ-6 発声用バルブと側孔の役割Ⅰ
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