■ カニューレの選択方法(図Ⅰ-8) カニューレ選択の参考フローを図Ⅰ-8に示す。一般的には,誤嚥の有無でカフや上部吸引機能を,内腔汚染の有無で一重管・二重管を,発声機能の有無で側孔・発声用バルブの使用を選択する。■ カニューレ選択の観点からの合併症回避 本邦においては多数の会社から保険適用となる気管カニューレが発売されており,各施設によって採用される気管カニューレの種類も様々である。カニューレサイズとして内径を表示している製品が多いが,内径が同じカニューレであっても,外径,パイプの全長や直線部分の長さ,上部吸引機能の位置,静止カフ外径が異なる。気管切開管理で最も留意すべき気管腕頭動脈瘻が危惧される症例に対しては,前壁への刺激を防ぐために曲率半径の大きいものを選択する。肥満症例や下気管切開症例などの皮膚から気管前壁までの距離が長い場合には,気管までの深さが十分に確保できるタイプや,可変式カニューレを使用する。人工呼吸器による換気に際しエアリークの制御を要する症例においては,カフ圧で調整するのではなく,気管や食道の血流障害による気管食道瘻などの合併症を回避するために静止カフ外径の大きなカニューレが(木村百合香)適応となる 4)。 (あり)上部吸引機能付きカフ付きカニューレ内腔汚染(あり)二重管タイプ内腔吸引機能付き一重管タイプ*気管切開孔の維持を目的とする場合に適応(レティナ ®など)(あり)誤 嚥(なし)人工呼吸器終日使用(あり)(なし)上部吸引機能なしカフ付きカニューレ上部吸引機能付きカフ付きカニューレ二重管(側孔・(なし)発声バルブ付き)一重管タイプ人工呼吸器使用(あり)上部吸引機能付きカフ付きカニューレ内腔汚染(あり)(なし)二重管タイプ一重管タイプ誤嚥軽度・発声機能良好→側孔・発声バルブ付き外科的気道確保とは 7(なし)誤 嚥(なし)カフなしカニューレ保持用カニューレ(*)内腔汚染(あり)(なし)二重管タイプ一重管タイプ発声機能良好→側孔・発声バルブ付き 図Ⅰ-8 気管カニューレ選択の流れⅠ
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