■ 周囲臓器❶頸部の筋肉(図Ⅱ-1) 胸鎖乳突筋,外喉頭筋群,舌骨上筋群,舌骨下筋群,下咽頭収縮筋群等がある。舌骨上筋群は喉頭を前上方に挙上し,舌骨下筋群と同時にはたらくと口を開く。舌骨下筋群は主に喉頭を下げる下制筋(甲状舌骨筋は挙上筋,下制筋の両方)としてはたらく。下咽頭収縮筋群は甲状咽頭筋と輪状咽頭筋の総称であり,前者は食塊の駆動筋として,後者は食道入口部括約筋として,および発声時の後方からの喉頭固定として機能する。なお,喉頭外の構造に一つの付着点を有し,喉頭の支持や上下運動を行う筋を外喉頭筋群という。舌骨上筋群舌骨下筋群下咽頭収縮筋群10 Chapter Ⅱ.頸部の解剖と生理管後壁が前方へ突出する際にでも,声門直下の輪状軟骨部は内腔を確保することができる。表面から近く,血管や臓器が少なく,また内腔が確実なことが,緊急時に輪状甲状靱帯(膜)が気道確保ルートとして選択される理由であろう。ただし,輪状軟骨は喉頭の枠組みの土台であり,また気管との接合部として重要であることも認識されなければならない。❷頸部の血管 動脈は喉頭気管の左右に存在するため,手術操作が左右および下方に及ばなければ,問題になることはあまり多くはない。外頸動脈から分岐した上甲状腺動脈,甲状頸動脈から分岐した下甲状腺動脈が喉頭および甲状腺へ分布する。上甲状腺動脈から分岐した上喉頭動脈と輪状甲状枝のうち,輪状甲状枝が輪状甲状膜を貫き喉頭に入る(図Ⅱ-2)。 図Ⅱ-1 頸部の筋肉甲状咽頭筋輪状咽頭筋甲状舌骨筋肩甲舌骨筋胸骨舌骨筋胸骨甲状筋茎突舌骨筋顎二腹筋顎舌骨筋オトガイ舌骨筋
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