外科的気道確保マニュアル 第2版
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■ 喉頭の関節 声帯の調節はすべて輪状披裂関節,輪状甲状関節の二対の関節により行われているが,外科的気道確保で注意しなければならないのは後者である。❶輪状披裂関節 輪状軟骨関節面は輪状軟骨板上縁の両外側に位置し楕円形で凸面状となっている。披裂軟骨の関節面は筋突起下面にあり,小さな環状で凹面状である。主な運動は輪状軟骨関節面の長軸に対する回転運動であり,披裂軟骨の外転により声帯突起は上外側に,内転により内下方に回旋する。もう一つの運動は長軸方向での滑走運動である。❷輪状甲状関節 両側輪状甲状関節を通過する直線を回転軸とする回転が基本的な運動である。前方で甲状軟骨と輪状軟骨弓の間の距離を減少させ,声帯緊張を高めることになる。■ 靱帯と膜様構造 喉頭軟骨群を連結し,枠組みの支持と運動の調整に役立っているのが靱帯および膜様構造である(図Ⅱ-5)。このうち,輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術に関与する靱帯,膜様構造について解説する。頸部の解剖と生理  13対の披裂軟骨,小角軟骨,楔状軟骨であるが,本項では輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術に関係する輪状軟骨,甲状軟骨について解説する。これら二つの軟骨は硝子軟骨であり,20〜30歳に至ると骨化するが,思春期以前の若年者では軟骨の性状のままである。❶輪状軟骨 喉頭下端にあり,喉頭腔全周を囲む。下方は輪状気管靱帯を介し第1気管軟骨に連なる。指環状で前方から後上方に向かって高くなる。前方部分を輪状軟骨弓部,後方部分を輪状軟骨板という。❷甲状軟骨 喉頭の軟骨群の中で最も大きい。左右の甲状軟骨板が前方正中で癒合し,喉頭前壁の大部分を形成する。両板のなす角を甲状軟骨角といい,成人男性では鋭的に突出し喉頭隆起として知られる。この癒合は上部において不完全でありV字型の深い甲状切痕として触れる。甲状軟骨板の後縁は上下に突起を出し,それぞれ上角,下角という。上角は長く上後内側に向かい,舌骨大角に靱帯で付着する。下角は下前方に向かい輪状甲状関節で輪状軟骨と連結している。a)弾性円錐 声門下腔が漏斗状もしくは円錐形であることが弾性円錐の語源となっている。輪状軟骨内側下縁から始まり,声門下腔の全域を包む弾性に富む膜様構造で,その上縁は声帯遊離縁粘膜のレベルに及ぶ。下縁は輪状気管靱帯に移行している。❶声帯靱帯 弾性円錐の肥厚した両側上端を声帯靱帯と呼び,声帯粘膜波動を支持している。Ⅱ

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