■ 内喉頭筋群 喉頭軟骨群同士を結ぶ筋群を内喉頭筋群と称する。上喉頭神経外枝に支配される輪状甲状筋を除いて反回神経に支配される。また両側同時に支配される披裂筋を除き,左右一対をなし,それぞれ左右の神経により支配されている。機能的に内転筋,外転筋,緊張筋に分かれる(図Ⅱ-6)。 甲状披裂筋(内筋),外側輪状披裂筋(側筋),披裂筋(横筋)は,声帯を内転させ声門を閉鎖し,後輪状披裂筋(後筋)は声帯を外転させ声門を開く。 声帯を緊張させる役割をもつ輪状甲状筋(前筋)は,輪状軟骨弓前外側から生じ後上方に走行し甲状軟骨下角の前縁に入る斜部と,垂直に上方へ走行し甲状軟骨板下縁内側面に沿って入る直部からなる。直部の筋の収縮により両側輪状甲状関節を通過する軸を中心に輪状甲状関節の回転運動が起こり,輪状軟骨弓と甲状軟骨の間の距離が短縮する。斜部の収縮は輪状軟骨を後上方に傾斜させ,ともに甲状軟骨角と披裂軟骨声帯突起の間の距離が伸長する。声帯は伸展されて声帯緊張が高まる。すなわちカバーに対して甲状披裂筋と拮抗的にはたらくことになる。声を高くさせるための中心的役割を担っている。 なお,声を低くするメカニズムは未だに明らかではないが,頸椎の弯曲に沿って喉頭が下降する際に,輪状甲状関節の回転運動により声帯長が短縮することは効果的にはたらくと考えられている。■ 声帯の層構造 声帯は組織学的に上皮,粘膜固有層,筋層の3層からなる。さらに,声帯振動の観点から3層に再分類される。①カバー;上皮と粘膜固有層浅層,②移行部;粘膜固有層中間層および深層,および ③ボディ;声帯筋の3つである。声帯振動は主にカバーが担う 5)(図Ⅱ-7)。16 Chapter Ⅱ.頸部の解剖と生理 図Ⅱ-7 声帯の層構造粘膜上皮粘膜固有層カバー浅層中間層深層移行部声帯筋ボディ
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