外科的気道確保マニュアル 第2版
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■ 両側輪状甲状筋間の距離(中央部)×甲状軟骨前下縁・輪状軟骨前上縁間の距離 4 合併症・障害を防止するための喉頭の臨床解剖 輪状甲状間の幅は30mmと言われているが,この距離は甲状軟骨下縁で輪状軟骨上縁と交わる左右2点間の横幅であり 6),輪状甲状靱帯穿刺・切開術を行う場合には,左右の輪状甲状筋間の大きさが重要になる。ABⅡCDover7)1996男性:11.6(8.2〜14.0)女性:9.5(8.0〜10.5)Bennett8)1996宮本6)2021男性:12.3(10.0〜17.0)女性:9.5(9.0〜10.0)両側輪状甲状筋間の距離A 甲状軟骨直下(mm)輪状軟骨前上縁の中央部(mm)B 甲状軟骨前下縁と男性:8.8(7.5〜11.0)女性:6.9(6.0〜8.5)12.38(9.0〜19.0)男性:9.2(6.5〜14.5)女性:6.0(5.0〜7.0)頸部の解剖と生理  17C 甲状軟骨前下縁と 輪状軟骨前上縁の間(mm)男性:10.9(10.0〜13.0)女性:9.5(7.5〜10.5)13.69(8.0〜19.0)男性:10.1(7.5〜13.0)女性:9.3(9.0〜9.5) 人は一対の声帯を用いて多種多様な声を出すことができる。これは喉頭筋群の調節により声帯の物性が多様に変化することによる。声帯が層構造であり,かつ表層ほど軟らかいことは均質な構造と比較して振動を容易にし,また喉頭筋による調節を受けて声帯の物性すなわち振動体としての性質を変化させるうえでも有利であると考えられている 5)。(図Ⅱ-8,表Ⅱ-1) Doverによる解剖体を用いた検討では 7),男性の平均は8.8(7.5〜11.0)mm×10.9(10.0〜13.0)mm,女性の平均は6.9(6.0〜8.5)mm×9.5(7.5〜10.5)mm,Bennettの検討では 8),平均12.38mm×13.69mmと報告されている。宮本の日本人献体を用いた報告では,男性9.2(6.5〜14.5)mm×10.1(7.5〜13.0)mm,女性は6.0(5.0〜7.0)mm×9.3(9.0〜9.5)mmとなっている 6)。(楠山敏行・田山二朗) 表Ⅱ-1 両側輪状甲状筋間の距離と甲状軟骨前下縁・輪状軟骨前上縁間の距離の一覧 図Ⅱ-8 両側輪状甲状筋間の距離(A:甲状軟骨直下,B:中央部)と甲状軟骨前下縁・輪状軟骨前上縁間の距離(C:高さ)

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