■ 合 併 症●血液などの誤嚥●食道損傷●穿刺部の出血・血腫●気管後壁の損傷●皮下・縦隔・心嚢気腫,気胸,緊張性気胸●甲状腺穿刺●空気塞栓症(不適切な穿刺後の換気による)■ 輪状甲状靱帯(膜)穿刺術後の換気 CT穿刺術は比較的簡便に実施できるものの,有効な換気を得ることが困難であるため,自発呼吸のない場合など,バッグバルブなど15mmコネクター対応の換気装置に接続するには,以下の工夫を要する。● ● 4 輪状甲状靱帯(膜)切開術 本項では,気管切開チューブあるいは気管チューブを挿置することができるため,血液や分泌物の気道への流入を防ぐことができ,換気回路との接続も比較的容易でただちに陽圧換気や気管内吸引を行うことのできる輪状甲状靱帯(膜)切開術について解説する 4)。■ 禁 忌 12歳以下の患者:気道の径が小さく,軟部組織のコンプライアンスが大きいうえ,気管内腔開存に甲状軟骨が関与していることから,術後に声門下狭窄の危険があるため。ただ,他の方法が不可能な場合には施行せざるを得ないことがある。■ 手 技❶ ❷ ❸ ❹ ❺ A.輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術の手技の実際 23 穿刺針の外筒を,内径3.5mmの気管チューブのコネクターに接続する。 穿刺針の外筒を,2.5m■シリンジを介して内径7.5mmの気管チューブのコネクターに接続する。 なお,バッグバルブによる換気は送気抵抗が大きく,換気量が少ないことから成人には不向きであるが,小児には試みる価値がある。 カフ付きの気管チューブまたは気管切開チューブ内径5〜7mmを準備する。 右利きの術者は患者の右側に立つ。 消毒して滅菌操作を行う。 患者の意識があれば局所麻酔を行う。 左手の手指で甲状軟骨をしっかり固定する。その際,左手掌で患者の顎部を固定すると安定する。Ⅲ
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