外科的気道確保マニュアル 第2版
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1 適応と禁忌■ 適 応 前項に準ずるが,各キットの仕様(表Ⅲ-1)や特徴(表Ⅲ-2)を理解して用いる。とくに,キットにより異なる小児適応の有無,15mmコネクター接続の可否を含め,緊急気道確保と短期間の吸痰ルート確保のいずれに適応があるのか,あるいは両者に適応があっても基本的にどちらの目的に用いるべきとされているのかなど,添付文書を確認したうえで,慎重に臨床現場に採用して運用する必要がある。■ 禁 忌 キットの添付文書により異なるが,トラヘルパーとトラファインは,12歳以下の小児は禁忌である。その他,添付文書の内容を,安全性を重視する観点からまとめると,頸部の解剖学的ランドマークが明確に同定できない場合,輪状甲状靱帯(膜)より遠位に気管狭窄のある場合,声門下狭窄例,喉頭に腫瘍や狭窄がある場合,施術部位に腫瘍や血腫がある場合,血液凝固障害や出血傾向,咽喉頭の外傷や気管損傷といった症例は禁忌となる。また,気道確保目的に用いる場合は,緊急時の一時的な利用に留め,長期呼吸管理には用いない。2 種 類 輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術(CT穿刺・切開術)時に気管内に挿入する器具として以下のものが挙げられるが,本項では,キットによる経皮的CT穿刺・切開術を中心に述べる。■ 気管チューブ 気道確保用には内径6.0mmの細径チューブが勧められる。カフが付いており,比較的長期に人工呼吸が可能である。 内径6.0mmのチューブの外径は8〜9mm程度であることから,これ以上太いチューブは解剖学的に挿入が困難であるうえ 7),輪状軟骨を損傷し,合併症を増加させる可能性がある。■ 血管留置針 気道緊急時に16Gの血管留置針を使用し,一時的に気道を確保する。小児の場合14Gを使用することもあるが,体重が10kg以上あれば使用可能なキットを用いると屈曲や閉塞を起こしにくい 4)。B.キットを用いる経皮的輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術  27ⅢB. キットを用いる経皮的輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術

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