外科的気道確保マニュアル 第2版
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❸ ❹ ■ トラファイン❶ 患者を仰臥位に寝かせ,頸部を伸展させる。輪状軟骨と甲状軟骨を触診し,輪状甲状靱帯(膜)の位置を確認したうえで,皮膚を消毒して切開部位に局所麻酔を行う。❷ 穿刺・切開目的部位を手指でしっかりと保持し,メスで正中線上に1cm程度の皮膚縦切開を行う(図Ⅲ-12a)。 ツーイ針にシリンジを取り付け,ツーイ針の先端孔が気管下部に向くように(ガイドワイヤーを患者の尾側方向に向けて挿入するため)輪状甲状靱帯(膜)を穿刺する。 抵抗がなくなりシリンジに空気を吸引できることで,気道内に達したことを確認する(図abcde32  Chapter Ⅲ.輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術後壁損傷を避けるため,ニードルをそれ以上進めないように注意する。もし,肥満などで術野の皮下組織が厚く,ストッパーをつけた状態ではニードル先端が気道内に到達せず,シリンジ内に空気を吸引できない場合には,ストッパーを外してからニードルとカニューレを,シリンジ内に空気を吸引できるまで慎重に進める。次にカニューレからシリンジとニードルを一緒に引き抜く(図Ⅲ-11d)。 カニューレを固定し,カニューレの15mmコネクターを適切な換気器具(バッグバルブ等)に接続して換気を行う(図Ⅲ-11e)。必要に応じて付属のカテーテルマウントをカニューレの15mmコネクターに接続して利用する。❺ クイックトラック(緊急用輪状甲状膜穿刺キット)を例に示す。患者の頸部を伸展させて輪状軟骨と甲状軟骨を触診し,輪状甲状靱帯(膜)の位置を確認し手指で固定したうえで皮膚から靱帯(膜)を穿刺する(a)。続けてストッパーが頸部の皮膚に接する位置まで気道内にニードルとカニューレを進める(b)。ストッパーを外し(c),ニードルをガイドとしてカニューレをさらに尾側に進める。シリンジとカニューレを一緒に抜去した後(d),カニューレを固定して換気を行う(e)。(クイックトラック添付文書第9版より許可を得て転載) 図Ⅲ-11 直接法による経皮的輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術

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