外科的気道確保マニュアル 第2版
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aⅢbcde安全カバー輪状軟骨気管軟骨イントロデューサトラファイン本体 トラファイン(輪状甲状膜切開キット)を例に示す。患者の頸部を伸展させて輪状甲状靱帯(膜)を触知し,手指で目的部位を固定したうえで皮膚を縦切開する(a)。シリンジを取り付けたツーイ針を切開創から穿刺し,シリンジ内に空気が引けることでツーイ針の先端が気道前壁を穿刺したことを確認する(b)。ツーイ針からシリンジを外してガイドワイヤーを挿入し(c),ガイドワイヤーを残してツーイ針を抜去後にイントロデューサーを装着したトラファイン本体(カニューレ)をガイドワイヤー経由で気道内に挿入する(d)。イントロデューサーとガイドワイヤーを抜去し,カニューレを固定する(e)。(トラファイン添付文書第4版より許可を得て転載)シリンジ甲状軟骨ツーイ針ガイドワイヤB.キットを用いる経皮的輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術  33トラファイン本体Ⅲ-12b)。 ツーイ針が動かないように注意して,シリンジを外し,ガイドワイヤーを柔軟な側からツーイ針を通して気管内に誘導して留置する(図Ⅲ-12c)。 ガイドワイヤーの位置が動かないように保持した状態でツーイ針を抜去する。 ガイドワイヤーを介して,ダイレーターを気管内へ進め,輪状甲状靱帯(膜)穿刺部をカニューレのサイズまで拡張した後にガイドワイヤーを残してダイレーターを抜去する。 ガイドワイヤーを介して,イントロデューサーを装着したトラファイン本体(カニューレ)を,気道内に挿入する(図Ⅲ-12d)。 トラファイン本体(カニューレ)が正しい位置まで挿入されたら,フランジ部を手で保持した状態で,イントロデューサーとガイドワイヤーを同時に抜去し,縫合糸あるいは固定紐で固定する(図Ⅲ-12e)。(齋藤康一郎) 図Ⅲ-12 Seldinger法による経皮的輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術❺ ❻ ❼ ❽ ❾  なお,いずれのキットを用いるにせよ,上甲状腺動脈の分枝である輪状甲状枝(動脈)が輪状甲状靱帯の上方を走行している 7)ことから,輪状軟骨直上を穿刺するようにこころがける。

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