■ 気腫・気胸 気腫・気胸の種類として以下が挙げられる。 ● ● ● ■ 声門下狭窄 声門下狭窄の代表的なリスクファクターとして以下が挙げられる。 ● ● ● 7日以上経口挿管の既往 ● 36 Chapter Ⅲ.輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術をアプローチする際には通常は術野に現れない。 皮下気腫 縦隔・心囊気腫・気胸 緊張性気胸 皮下気腫・縦隔・心囊気腫・気胸は,不適切な部位へのカニューレ挿入が原因で,その後の換気により明らかとなる合併症である。特に緊急気道確保目的に穿刺を行い,高圧での換気により著しい皮下気腫を生じた場合,頸部が腫脹し再穿刺が不可能になる場合がある。また,緊張性気胸は穿刺・切開術の際に排気不十分な状況で過剰な送気をしてしまうと気道内圧が上昇し,圧損傷が生じることにより発症し得る。 小児 喉頭病変の存在 長期のカニューレ留置 カニューレ挿入部位に肉芽や瘢痕狭窄が生じ,声門下狭窄を起こす。特に軟骨を損傷すると軟骨膜炎を生じ,狭窄が起こりやすいとされる。術後早期にも起こり得るが,数週間〜数カ月経過後に上気道感染を契機に発症することが多い。 声門下狭窄の原因としては,過剰なカフ圧による粘膜の圧迫,局所の感染,頻回のチューブ移動による機械的刺激,チューブが硬いことによる刺激の増強などが挙げられる。小児に施行した場合や腫瘍・喉頭炎などの喉頭疾患の症例に施行した場合,施行前に長期経口(または経鼻)挿管されている場合などに高率に合併する。 そのような症例を除くと頻度は1%程度であるが,気管切開術に比べ頻度が高く,難治であるという特徴がある。予防には症例の選択が最も重要である。ChapterⅢ-A・Bに適応や禁忌の記載があるので参照されたい。 小児の気道は成人よりも狭く,チューブ挿入により気管後壁の損傷やその後方にある食道損傷を起こしやすい。また輪状甲状靱帯(膜)の上下径が短く,軟骨を損傷しやすいことに加え,粘膜も成人に比べ粗で軟らかく損傷しやすいため,浮腫や潰瘍を起こしやすく声門下狭窄もきたしやすい。そのため小児の切開術は相対的禁忌である。輪状甲状靱帯(膜)穿刺術は禁忌ではないが,解剖学的指標も同定しにくいため注意を要する。 輪状甲状靱帯(膜)からのカニューレ挿入期間と声門下狭窄の頻度について定まった見解はな
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