■ 発声障害・嗄声 発声障害・嗄声の代表的な原因として以下が挙げられる。 ● ● ● ● C.輪状甲状靱帯(膜)穿刺・切開術に伴う合併症 37い。しかし長期に留置することで声門下狭窄の危険性が高まるとして合併症の頻度の高い緊急施行時には72時間以内に輪状甲状靱帯(膜)からチューブを抜去することを勧める意見もある 10)。長期間留置することにより合併症頻度が増加することを考慮し,可及的速やかに気管切開術などにより必要十分な換気や吸痰のルートを確保する必要がある。 なお,施行直後の抗菌薬や副腎皮質ステロイドの投与による声門下狭窄の予防効果に関する一定の見解はない。また,声門下肉芽・声門下狭窄による呼吸障害が生じた際には,気道確保として必要に応じ気管切開を行い,副腎皮質ステロイドの局所・全身投与による保存的治療や症例により様々な手術治療を行うこととなるが,難治例も多い。 声帯の浮腫・炎症・瘢痕形成 輪状甲状筋損傷 カニューレ挿入による声帯の進展(喉頭が牽引される) 反回神経の損傷 症状は大きな声が出ない,会話で疲れやすい,声が嗄れる,声の高さが変わったなどである。この手技にてアプローチする輪状甲状靱帯(膜)は大まかにいうと長辺10 mm・短辺4 mm・高さ10 mm程度の小さな台形をしている(図Ⅲ-13)(図Ⅱ-8:17頁参照)。 換気または喀痰吸引の目的のためにはより大きな孔がよいが,孔が大きいほど周囲を損傷し合併症を発症する可能性が高まる。換気に必要なカニューレの内径は4 mm以上,十分な換気には6 mmが必要であるとされる。輪状甲状靱帯(膜)前面には輪状甲状筋(輪状甲状筋を損傷すると高音の発声障害が起こる)が外側上方から内側下方へと斜めに走行しており,同筋が走 図Ⅲ-13 安全領域の範囲上甲状腺動脈この裏面に声帯甲状軟骨輪状甲状枝輪状甲状靱帯(膜)安全領域輪状甲状筋輪状軟骨甲状腺声帯のレベル7〜9 mm10 mm輪状甲状靱帯(膜)10 mm4 mmⅢ
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