外科的気道確保マニュアル 第2版
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外科的気管切開術  43 図Ⅳ-5 甲状腺峡部の切断a:気管からの剥離b:峡部の切断c:断端の結紮 図Ⅳ-6 気管開窓法型)に軟骨を切除したり,縦一本や横一本,T字などに切開したりしても差し支えない(図Ⅳ-6)。 逆U字型切開では,まず第1・第2または第2・第3気管輪間を横に1〜1.5 cm程度切開し,その両端で縦に横切開と同程度の長さ(1〜2気管輪)切開することにより逆U字型の軟骨弁(フラップ)を作成する。開窓部の大きさは,気管径や留置する気管カニューレのサイズを考慮し決定する。過大な気管孔は気管孔閉鎖後に気管狭窄の原因となり得る。フラップは下方の皮膚に2-0絹糸などで縫合する(図Ⅳ-7)。一時的な気管切開ならば,この時点で止血を確認し,カフ付き気管カニューレを留置して手術を終える(図Ⅳ-8)。気管カニューレの留置後は,できるだけ内視鏡で先端が気管壁に接触していないか確認する。 長期的な気管切開管理が行われる可能性が高い場合は,全周性に皮膚と気管を縫合して気管孔形成を行うと肉芽増生や出血などによる気管カニューレ交換時のトラブルを回避することができる(気管開窓術)(図Ⅳ-9)。気管カニューレの交換は内科医や在宅訪問医が実施することa:逆U字型(Bjork flap)b:窓型 図Ⅳ-7 逆U字型フラップ(Bjork flap)の皮膚縫合abcⅣab

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