外科的気道確保マニュアル 第2版
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4 PDTvsST PDTとSTを比較した論文は多いが,最近のエビデンスとして参考となる検討として,20の論文を検討した2016年のCochrane Review15)や,24の論文を検討した2018年のsystemat-ic review and meta-analysis4)がある。いずれも緊急症例は除外した検討で,結果は酷似しており,気管切開関連死や大出血,そして命に関わるような有害事象(気道閉塞,チューブの迷入,チューブ交換困難,気管や食道の損傷,気胸・縦隔気腫・皮下気腫)はSTとPDTで有意差は認めず,創部感染のリスクが低く術後の創部が目立たない点ではSTよりもPDTが優位,という結果である。ただし,STは基本的にあらゆる気道確保の場面で適応となるのに対し,efabcdⅤ経皮的気管切開術  55ては,ガイディングカテーテルを用いない場合もあり,事前に確認のうえ慎重に対応いただきたい。いずれのキットにも同包されている角(つの)型の2次ダイレーターは,拡張部を水で湿らせることで親水性コーティングの潤滑性を発現させる(a)。本拡張に際しては,キットにより,ガイディングカテーテルを先にガイドワイヤーに通す場合(b)と,ガイドワイヤーを通す段階からガイディングカテーテルと2次ダイレーターを一体として本拡張のステップ(c)に進む場合がある.拡張に際しては,気管の走行に沿うように内腔からも確認しながら(e),十分に皮下から気管の穿刺部を拡張させる(d〜f)。(耳喉頭頸,87巻1号より許可を得て転載)6) 図Ⅴ-3 CBR法(SSDT)中盤の手技

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