外科的気道確保マニュアル 第2版
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5 経皮的気管切開術の位置付け これまでにも,耳鼻咽喉科医師と呼吸・集中治療担当医師〔pulmonary/critical care(PCC)specialists〕とのPDTに関するコラボレーションの成功報告がある14), 17)。これらの報告では,cfabde56  Chapter Ⅴ.経皮的気管切開術PDTは症例を選ぶ,という点が重要であり,その背景を理解したうえで,PDTに関して安全で適切な適応となる症例での比較結果としてこれらの結果を解釈すべきである。なお,世界59カ国を対象とした欧州集中治療学会のICU患者に対する気管切開術のサーベイランスの結果では,欧州ではSSDTが最も頻用されるのに対し,欧州外ではSTが最多であり,欧州・欧州以外のいずれにおいても,PDTを行っている医師は集中治療医が,そしてSTを行っている医師は耳鼻咽喉科医が最多と報告されている16)。オブチュレーター(※)が付随している気管カニューレを用いるような場合,ガイディングカテーテルを使わず,ガイドワイヤー経由で本拡張した気管孔にオブチュレーターを装着したカニューレを安全に挿置する(a〜c)。ほかに,ガイディングカテーテルにイントロデューサー(オブチュレーターとも称される,*)と気管切開チューブを組み合わせて挿入する方法もある(d〜f)。これらのステップの後,カニューレ以外のガイドをすべて抜去して気管切開チューブのカフにエアを挿入,カニューレを頸部に固定して人工呼吸器に接続し,経喉頭的に挿入された挿管チューブを抜去して手技を終える。(耳喉頭頸,87巻1号より許可を得て転載)6) 図Ⅴ-4 PDT後半の手技(GWDF法,CBR法(SSDT)共通)

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