■ カニューレの管理 カニューレは装着のまま気管内分泌物の吸引を行う。二重管構造のカニューレで内筒がある場合は,内筒を外して内腔を洗浄する。初回のカニューレの交換は気管切開孔の創部が安定するまでできるだけ遅らせたほうが安全である。術創が不安定な2週間以内は気管孔の壁が脆弱でカニューレの迷入が生じやすい 14)。通常患者では肉芽形成と創部安定化に要する期間が2週間程度のところ,気管切開術を必要とする患者は創傷治癒が遅延する要因をもつ傾向にあり,創部安定化にそれ以上を要することが多い。気管切開孔が安定するまで,初回の気管切開チューブ交換は一律1週間目に交換などと規定はせず,できるだけ遅らせた方が安全である。カニューレの交換自体の回数を減らすために,二重管カニューレなどを選択することも重要である。 初回カニューレ交換の際には,抜去後に挿入困難な場合を想定して創部を展開するために筋鉤や三弁式の気管開創器なども準備しておくと安心である。 またカニューレが挿入され,気道管理されている患者にはベッドサイドに気道安全管理指示書(図Ⅵ-2)を掲示しておき,カニューレ入れ換え日,次回交換予定,カニューレの種類,緊急時のカニューレ抜去が可能か,不可能かなどを,カルテを見なくても医療スタッフ間で情報共有できるシステムも有用と思われる。一定の研修を受けた看護師による緊急時のカニューレ抜去の可否は,院内ルールを決めておくと良い。■ 局所管理 術後1,2日は術創から少量の出血があるので,切り込みガーゼは連日交換する。また,カフ付きカニューレを使用し,カフを膨らませて血液の気管への流入を防止する。カフはシリンジを用いた注入空気量によるカフ管理ではなく,カフ圧計により適切なカフ圧を維持する必要//(単管/)2重管62 Chapter Ⅵ.気管切開術後のケア・カニューレ入れ換え日:(・次回交換日:・カニューレ種類:・緊急時カニューレ抜去指示:・その他の特別な指示( )氏名: 様物品名( )・サイズ( )*予備のカニューレはベッドサイドに準備するカニューレに関する情報をベッドサイドに掲示し,医療スタッフが情報共有する。ID:) 図Ⅵ-2 気道安全管理指示書抜去可/抜去不可
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