外科的気道確保マニュアル 第2版
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1 はじめに 本邦には,気管切開術の手術方法や術後管理についてのガイドラインや一定の指針がなく,各施設の裁量に任されている現状にある。そこで,将来的に安全,確実な気管切開術を施行するための指針を策定することを目的として,本邦における気管切開術とその術後管理の実態の全国調査を実施し,その基礎データを集積した。本研究は日本気管食道科学会公認の2020年度の疫学調査研究として施行し(2020-02),大阪医科薬科大学倫理委員会において承認を受けている(45-2935)。2 対 象 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の耳鼻咽喉科専門研修プログラムの基幹施設101施設および専門関連研修施設520施設,計621施設に対して,2020年8月にアンケートを送付した。このたび,基幹施設のアンケート結果を用いて検討した。アンケート内容は,手術の体制,手術方法,術後管理,気管切開チューブの交換,術前インフォームドコンセント,術後合併症,教育方法とした。一部の設問を除いて,長期気管挿管患者に対して施行する待機的な気管切開術に関する設問とした。 アンケート結果は2020年12月までに全基幹施設である101施設(100%)から回答を得ることができた。101施設の内訳は,大学附属病院が91施設,一般病院が10施設であり,病床数は200〜499床が4施設,500〜799床が49施設,800床以上が48施設であった。各プログラム基幹施設における耳鼻咽喉科医の常勤医師数は,10人以下が25施設,11〜15人が41施設,16〜20人が26施設,21人以上が9施設であり,中央値14人(5〜32人)であった。付 2 気管切開術とその術後管理に関する全国実態調査(2020年臨床研究課題) 付2

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