学会紹介
理事長あいさつ
このたび日本気管食道科学会の第13代理事長に選出していただきました。歴史ある学際的な本学会の運営を担当させていただきますことを大変光栄に存じますとともに,責任の大きさを痛感しています。これからの2年間,会員の皆様の発展に資する事業を実施し,患者さんに有益な診療に還元し,さらには社会への貢献を目指して活動を進めたく存じます。どうかご助言とご支援をお願い申し上げます。
日本気管食道科学会は1949年11月に慶應大学の小野譲博士を初代会長として発足し,本年まで74年の歴史を有します。本学会は所掌するテーマとして呼吸管と食道を広く扱うことから,耳鼻咽喉科頭頸部外科,消化器外科,呼吸器外科,呼吸器内科,形成外科をはじめ多くの診療分野の医師が集まり,その専門ならびに境界領域の英知を持ち寄り,診療に有益な知識と技術を醸成してきました。この学際的な活動をさらに発展させるべく,会員の専門領域をより多彩にし,疾患領域ごとに横断的な連携を強くする組織づくりに取り組みたいと思っております。
今期はまた,桑野博行理事長(第11代),塩谷彰浩理事長(第12代)が発展された大きな二つの課題,各領域に共通する臨床研究の推進と,本学会専門医制度の専門医機構における承認について,現在の方針を引き継いでまいります。臨床研究委員会では藤也寸志副理事長に委員長の労をおとりいただき,毎年3~4題採用している研究課題を,調査研究にかかわる情報交換のシステムを含めて支援しています。今後も,該当するプロジェクト研究が十分な成果を得てその結果が国際誌等に掲載されますよう,学会として助力していきたく存じます。また専門医制度委員会では山下拓理事に委員長の労をおとりいただき,すでに本学会のもつ充実した専門医制度を,学会認定・機構承認の形で継続できるように,関連する各学会への調整を進めています。来年度には日本専門医機構の承認が得られるように努めてまいります。
本学会では日本気管食道科学会会報と専門医通信の2誌を発行しています。前者では原著,症例,特集の投稿論文が,後者には講座と専門医試験問題解説が掲載され,ともに気管食道科領域を学ぶうえで充実した内容となっています。編集委員の皆様に感謝を申し上げます。これらの2誌は時代の趨勢からオンライン化が進められています。どうか積極的にお目通しをいただくとともに,若手の先生方に日本気管食道科学会奨励賞を目指して投稿を促していただけますと幸甚です。
本学会の学際的な長所を活かすためには,多くの会員の方々が学術集会で意見交換することが肝要です。近年では新型コロナウイルス感染症の影響下にもかかわらず,第31回専門医大会の藤也寸志会長,第72回総会・学術講演会の杉尾賢二会長,第32回専門医大会の古川欣也会長は大変充実したWEBによる集会を実施されました。さらに第73回総会・学術講演会の鈴木幹男会長は久しぶりに対面での学会を昨秋に沖縄で開催され,数多くの会員諸氏が現地参加し,交流を深めました。本年以降はAfterコロナの時代の訪れが期待されますが,現地開催を基軸に活発な総会ならびに専門医大会が実施されますよう,会員の皆様におかれましてはご参加をお願い申し上げます。
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会 理事長
東北大学医学部 耳鼻咽喉科
香取 幸夫