図1 頸部超音波検査所見甲状腺左葉に低吸収域を認め,内部にはエコーフリースぺースを認めた(矢頭).mg/dl,と炎症反応の軽度上昇を認めた。甲状腺 機能はTSH 0.92 ■IU/ml,free T3 2.76 pg/ml,free T4 0.88 ng/dlと正常であった。臨床経過:急性化膿性甲状腺炎の診断にて■刺排膿および抗菌薬加療を行ったところ頸部症状および炎症反応は改善した。その後X年9月に施行した下咽頭食道造影検査では,左梨状陥凹から連続する瘻管が描出された(図2)。頸部造影CT検査では下咽頭から甲状腺上極にかけて辺縁に造影効果を伴う低吸収域を認め,膿瘍病変と考えられた(図3)。Modified Killian体位で施行した下咽頭ファイバースコープ検査では明らかな瘻管を認めなかった(図4)。X年9月に再度左前頸部痛を認めたが抗菌薬内図2 下咽頭食道造影検査(術前,斜位)左下咽頭梨状陥凹から尾側へ連続する瘻管を認めた(矢頭).描出された瘻管長は喉頭挙上時(a)に最大となり,計測値では約14 mmであった.嚥下後(b)の瘻管長は約11 mmであった.15服にて症状改善を認めた。これまでの臨床経過から梨状陥凹瘻による感染を反復していると考えられたため,手術による根治治療を行う方針となった。外切開による瘻管摘出と経口的瘻管摘出術の選択肢を提案したところ,本人および家族は経口的手術を希望した。X年12月にTOVSによる経口的瘻管摘出術を施行した。手術所見(図5):FK-WOリトラクター(オリンパスメディカルシステムズ)にて下咽頭を展開し,左梨状陥凹瘻を梨状陥凹外側に確認した。喉頭ブレードは17 cm,コンケイブを使用し,十分な視野およびワーキングスペースを得ることができた。4Frアトムチューブを挿入し,瘻管の深さが約1 cm程日気食会報,73(1),2022
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