III.経 過図2 造影CT(A)上咽頭と(B)右鎖骨上に血腫形成と造影剤の漏出を認める(矢頭).(C)3次元CT画像の造影剤漏出部位(矢頭).喉科への搬送依頼があり22時ごろ受診となった。 身体所見:全身に神経線維腫を疑う腫瘤,カフェオレ斑を認めた。右鎖骨上および側頸部に手拳大の腫脹を認めた(図1)。 当院救急外来到着時から急激な右頸部腫脹の増悪と咽喉頭浮腫を認めたため麻酔科で経口挿管を試みるも,頸部後屈困難および浮腫の増悪により挿管できなかった。外来での気管切開も困難が予想されたため,速やかに手術室へ移動し,マスク換気下に緊日気食会報,73(1),2022(A)図1 来院時の頸部所見(A)正面,(B)斜位.右頸部〜鎖骨上に腫脹を認める(黒丸).(A)(B)22急気管切開を行った。創部からは,噴出性に出血を認め血管は脆弱で止血が困難であった。気管切開後も頸部腫脹はさらに増悪し,鼻腔や口腔からの出血も認めたため出血源検索のため造影CTを施行する方針とした。 検査所見:受診時Hbは10.7 g/dlであったが,気管切開後は5.8 g/dlに低下した。そのほかは凝固能など採血結果に異常はなかった。 画像検査:頸部造影CTでは右上咽頭および右鎖骨上,胸部にかけて巨大血腫の形成を認め,同領域に造影剤の漏出を認めた(図2)。血管破綻部位が(B)(C)
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