した症例全体の救命率は96.8%であった。NF-1合併の胸部に限定して調べた出血について,1999年以前の救命率が62.5%で,2000年以降は80.4%とする報告13)があり,必ずしも予後良好な疾患ではないことがわかる。頸部領域においても過去の報告では不幸な転帰をたどった症例も散見された9, 28)。今回解析した症例群は過去の報告に比べ比較的高い救命率であったがその理由として,近年の画像検査や血管内治療の手技・技術の発達があると考えられる。日気食会報,73(1),2022(A)図5 処置後35日目の頸部所見およびCT所見頸部腫脹は改善傾向(A)で,CT上も右上咽頭(B),右鎖骨上の血腫は消失(C)している.図4 TAE後(A)右上行咽頭動脈,(B)右胸肩峰動脈.塞栓後止血が得られ,コイルが確認できる(矢頭).(A)(B)24 治療に関しては,近年ではIVRでの出血源同定,そのままTAEで止血を行う流れが主流となっている16, 19, 20, 29)。動脈解離の合併や,比較的中枢側の内径の太い動脈からの出血,TAEでの止血コントロール困難などの場合には手術加療が行われることもある。しかしながら,NF-1では神経線維腫の血管中膜組織への直接浸潤,栄養動脈の圧迫に起因する血管壁虚血,血管内膜の紡錘形細胞の増殖による中膜菲薄化と弾性板断裂などが原因とされる血管の脆弱を認める6, 7, 25, 30)。それに伴い焼■や結紮といった(B)(C)
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