日気食会報,73(1),2022 日本気管食道科学会会報第73巻1号をおとどけします。 ビールは夏の飲み物と思われている方は多いと思いますが,冬には冬のビールがあります。2月には国内のクラフトビール醸造所から,バレンタインデー用のチョコレートビールが次々とリリースされます。チョコレートビールといっても実際のチョコレートを原材料として使用している訳ではありません。チョコレートモルトやブラックモルトといわれる深■りのモルトを巧みにブレンドし「いかにもチョコレートみたいな」風味のビールを作り出すのです。その味わいはまぎれもなくチョコレート。甘くないので甘味が苦手な殿方へのプレゼントに最適です。 本号には原著2編,症例報告4編,用語解説1編,外国文献紹介2編が収録されています。 相良論文は喉頭乳頭腫61症例のまとまったレビューです。主に外科的切除での治療成績ですが,とてもすばらしい結果です。これにHPVワクチンが上手く併用されるともっと治療成績が向上するものと期待します。宮部論文は下咽頭梨状陥凹癌の気管傍リンパ節郭清について117例で検討されています。世の流れは縮小手術ですから,エビデンスをもって縮小できるとなれば,みんなが安心できてかつ,QOLが保たれる,いちばんよい結果です。 笠原論文は下咽頭梨状陥凹瘻の症例報告です。下咽頭癌と同様に本疾患にもTOVS適応の可能性が示されました。堤内論文は稀な神経線維腫症1型の動脈性出血を救命し得たという症例報告です。稀で重篤な疾患はこのようにいちど読んでおき,念頭に置くことが重要です。藤﨑論文はCRT後の照射野内に発生した異時性重複癌治療の症例報告です。CRT後のサルベージ手術はトラブルが多いですが,本論文はドレナージの工夫により,よい結果を得た貴重な報告でした。此枝論文は極めて稀な頸部気管憩室の症例報告です。著者らのいうとおり顕在化してないだけで埋もれている症例はいるのではないかと思います。 用語解説は光免疫治療について林隆一先生に解説していただきました。最新の治療につきたいへん勉強になりました。 外国文献紹介は門田伸也先生に反回神経の走行についてのメタアナライシス,高橋典明先生にCOVID-19とインフルエンザの両ワクチンの同時投与の論文をご紹介いただきました。 チョコレートビールを飲みながら,本号を愛読・熟読いただけると幸いです。 日 本 気 管 食 道 科 学 会 会 報 編集発行人 塩谷 彰浩編集担当理事 古川 欣也 大上 研二 室野 重之 門田 伸也編集委員 荒木 幸仁 大上 研二* 太田 正穂 唐帆 健浩 坂口 浩三 菅澤 正 高橋 典明 田山 二朗 中村 一博 堀口 利之 丸岡秀一郎発 行 所 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会 〒160─0004 東京都新宿区四谷1─11 陽臨堂ビル2階 電話・03─6388─9179 FAX・03─3356─4660 E-mail・jbes@kishoku.jp 【会 費】 年12,000円 【入会金】 2,000円製作/印刷 一般財団法人学会誌刊行センター/三美印刷株式会社ⓒ日本気管食道科学会2022 ●本誌掲載論文,記事の無断転載を禁じます第 73 巻 第1号 2022年2月10日発行50(50音順,*印委員長)(中村一博・田山二朗)編集後記
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