J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022パネルディスカッション4フレイルとがん薬物療法第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より再録1)九州がんセンター 呼吸器腫瘍科150値を45.50(AUC=0.694,感度68.0%,特異度70.0%)に設定した。治療前PNI値とICI治療効果に相関が認められた(ORR,p=0.0131,DCR,p=0.0002)。多変量解析にてRFSにおいては組織型,病期,治療前PNI値(p=0.0146,0.0057,0.0042),OSにおいてはECOG-PS,組織型,治療前PNI値(p=0.0155,0.0008,0.0155)がそれぞれ独立した予後因子であった。治療前PNI低値群は高値群と比較してRFSおよびOSがそれぞれ有意に低かった(RFS,p=0.0013,OS,p=0.0053)。5.結語 治療前PNI値は進行/再発NSCLCにおけるICI治療効果予測因子であり,治療前宿主免疫栄養状態が治療効果に影響を及ぼすことが示唆された。6.介入研究への展開 低免疫栄養状態の40肺癌症例を対象に7─14日の短期間に免疫栄養剤を摂取することにより免疫栄養状態が改善するかpilot studyを行った(UMIN 000035851)。免疫栄養介入群はhistorical control群と比較し,有意なPNI値の改善を認めた(p=0.0391)。本研究により免疫栄養介入によるICI効果増強の可能性も示唆された。日気食会報,73(2),20221.背景 免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を中心とする癌免疫療法は非小細胞肺癌(NSCLC)治療としての地位を確立した。これまでにわれわれはフレイルの重要な要因の一つであるサルコペニアと宿主免疫栄養状態との相関を明らかにしたが,宿主免疫栄養状態がICI治療効果に及ぼす影響は不明である。2.目的 進行/再発NSCLCにおける治療前prognostic nutritional index(PNI)とICI治療効果との関連性を後方視的に検討する。3.対象および方法 対象:ICIを投与したNSCLC 102症例。内訳:性別:男性/女性=73/29,平均年齢69歳(42─86),ECOG-PS:0/1/2=66/34/2,組織型:腺癌/非腺癌=73/29,病期:III/IV/再発=15/58/29,レジメン:単剤/併用=99/3。ICI投与直前の血液データよりPNI値を算出し,治療効果(ORR,DCR),無増悪期間(RFS),全生存期間(OS)につき解析した。4.結果 ROC曲線を作成し,治療前PNI値の最適cutoff庄司文裕1),木下郁彦1),高森信吉1),藤下卓才1),伊藤謙作1),豊澤 亮1),瀬戸貴司1),岡本龍郎1)進行/再発非小細胞肺癌における癌免疫療法治療効果と宿主免疫栄養状態との関連性の検討
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