ける肺癌の病理学的因子の有無を出力し,その精度をAUCの算出と損失関数(log loss)を用いて評価した。5.結果 対象症例の年齢中央値は69歳で男性/女性:399/267例であった。組織型は腺癌/■平上皮癌/その他:472/116/25例,病理病期はI/II/III/IV期:464/100/72/16例,各病理学的因子はv陽性/陰性:178/457例,ly陽性/陰性:64/570例,pl陽性/陰性:145/433例であった。学習・検証に際してepochはv/ly/pl:30/30/35回であった。検証症例における最適な予測精度として,AUCはv/ly/pl:0.62/0.61/0.64,log lossはv/ly/pl:0.62/0.37/0.57であった。6.結語 今回の検討から,病理学的v因子,ly因子,pl因子を術前のCT画像から,ある程度予測可能であることが分かった。J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より再録1)九州大学病院 消化器・総合外科,2)九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター,3)熊本大学大学院 先端科学研究部174日気食会報,73(2),20221.背景 近年,医療画像情報を対象とした深層学習(deep learning)に基づく病変の認識・識別・分類等の試みが盛んに行われている。2.目的 術前胸部薄切CTのdeep learningにより,非小細胞肺癌の病理学的因子を予測する。3.対象 2009年から2019年に手術を施行した非小細胞肺癌のうち,術前胸部CT検査の情報を有する844症例を対象とした。除外症例を除いた666症例を解析した。4.方法 Fangzhou Liaoによる3D convolutional neural networkベースの胸部CT肺癌検出アルゴリズムを用いた。目的変数は病理学的因子の血管侵襲(v)・リンパ管侵襲(ly)・胸膜浸潤(pl)を設定した。学習症例において検出された原発腫瘍にそれぞれの病理学的因子の有無を割り当てた後,検証症例にお奥 結華1),渡部健二1),長野太智1),小齊啓祐1),小野雄生1),原武直紀1),河野幹寛1),竹中朋祐1),山下貴範2),中島直樹2),野原康伸3)胸部薄切CTのDeep learningに基づいた非小細胞肺癌の病理学的因子予測人工知能・ビッグデータを用いた研究ワークショップ2
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