J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022本稿は第72回日本気管食道科学会の抄録/会議録である。1)九州大学大学院 消化器・総合外科,2)福岡歯科大学 総合医学講座図1 マルチスペクトラム装置組織中の酸化・還元ヘモグロビンの反射率の特性を利用して,分光反射光を画像解析する.185視化する(図2, 3)。3.方法 組織血流カメラを用い,食道切除後胃管再建時に,胃管の右胃大網動脈最終枝の流入部を基準点とし,胃管血流分布の測定を行う。34例の測定を行い,術後縫合不全発生との関連を調べた。4.結果 1)右胃大網動脈最終枝から遠位になるほど,胃管の酸素飽和度はより低下し,Hb量はより増加した。左右の胃大網動脈交通の有無は,酸素飽和度やHb量の分布に統計学的に有意な影響を与えなかった。 2)右胃大網動脈最終枝から遠位になるほど酸素飽和度の低下が進み,還元型Hb量の上昇が観察された。日気食会報,73(2),20221.背景 食道癌は他の消化管疾患と比べ吻合不全が多く,患者のQOLに影響を及ぼす。原因として再建臓器の血流障害が重要視されており,近年ではICG血流測定法が用いられるようになってきた。当科では,ICGによる血流評価以外の新たな血流評価法の開発を試みた。2.組織血流カメラ(図1) 組織中の酸化・還元型ヘモグロビンの反射率の特性を利用したマルチスペクトラムカメラを開発した。組織からの反射光をRGBカラー信号と酸化型,還元型ヘモグロビン(Hb)に特徴的な狭小帯2波長域の光量に分割し,動脈血流を反映する酸素飽和度と静脈血流を反映する組織Hb量を定量,可木村和恵1),春田泰宏1),胡 慶江1),中司 悠1),中西良太1),中ノ子智徳1),安藤幸滋1),太田光彦1),沖 英次1),池田哲夫2),吉住朋晴1)食道切除胃管再建における胃管血流評価の 組織血流カメラの開発気管食道科の医薬品・医療機器開発ワークショップ4
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