日本気管食道科学会会報 第73巻2号
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床研究を行った。 AMED(日本医療研究開発機構)の「医療機器開発推進研究事業」によるサポートにより,治験を見据えて取り組みを行い新しいPDT用のレーザーファイバーの薬事承認,末梢小型肺癌に対する新しい治療法の確立を目的に行った。多施設(日本医科大学付属病院,国立がん研究センター中央病院,東京医科大学病院,旭川医科大学病院)でsingle arm試験により末梢型肺癌に対する光線力学的治療の安全性および有効性を検討した4)。対象は,薄切CT上において最大径20 mm以下の結節影で,組織,細胞診で非小細胞肺癌の診断が得られた病変で,手術不能例または手術拒否例とした。主要評価項目として,「治療開始後90日以内におけるgrade 2以上の有害事象の発生割合」とした。本試験には7例がエントリーし,「grade 2以上の有害事象の発生割合」0%,副次評価項目として90日後,1年後の局所無増悪生存率はそれぞれ100%だった。この結果から,末梢型肺癌に対するPDTは安全に施行可能であることがわかった。図1 末梢型肺癌に対するPDTの医師主導治験に関するプロトコールのシェーマ.対象は,腫瘍径は25 mm以下,手術不能,放射線治療不能症例.PDT群とBSC群の二群に無作為に割り付ける.193日気食会報,73(2),20224.末梢小型肺癌に対するPDTの医師主導治験 臨床研究に基づき,新しく開発したレーザープローブの新規医療機器として薬機法承認,PDTに使用するレーザー機器,レザフィリン®の適応拡大を目的に医師主導治験を開始した。対象は,腫瘍径25 mm以下(充実成分が25%以上)で手術,放射線治療が不適応な症例である。 主要評価項目は,PFS(Progression free surviv-al),試験デザインはPDT群と無治療群(BSC)を2:1の無作為化比較試験である。BSC群に割り付けされた場合,胸部CTでPDと判断された場合,salvage-PDTを行うことが可能である(図1)。 レーザー照射法,照射条件については,レーザーdosemetryによる検討を行い,適正な照射条件について検討している。今後,承認後を見据えた適正なレーザー治療計画を策定できるようにシミュレーションを実施している。2022年3月まで症例エントリーを予定している。5.まとめ 新しい医療機器開発として,医師主導治験を遂行しながら,承認後を見据えた対策を講ずることが必

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