日本気管食道科学会会報 第73巻2号
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琉球大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座鈴 木 幹 男学術講演会に参加させていただけましたことを杉尾会長並びに大分大学関係者の皆様に感謝申し上げます。 杉尾会長が掲げられたテーマ「新たな時代の気管食道科学」のもとに,理事長講演,学会臨床研究発表会,特別講演2つ,シンポジウム5つ,パネルディスカッション5つ,ワークショップ4つ,教育講演2つ,一般講演191演題,スポンサードセミナ−4つ,と大変充実した発表が行われました。 COVID-19は上下気道に感染するため,気管・食道・頭頸部外科診療では大きな影響を受けました。本会では,COVID-19時代の気管・食道・頭頸部外科─COVID-19が変えた診療─,コロナ禍のワクチン開発(特別講演),コロナ下の肺炎マネージメントが取り上げられ,また東京オリンピック2020について,パラリンピアンの中西麻耶さんから事故や大会でのエピソード,競技に臨むお気持ちなどを拝聴いたしました。COVID-19時代の気管・食道・頭頸部外科─COVID-19が変えた診療─では,千田先生,田山先生の御司会のもと,学会の1番目のシンポジウムとして熱のこもった御講演をお聞きすることができました。渡邉先生(がん研究会有明病院)から世界中で生じたがん診療への影響,がん専門病院での役割・対応などが報告されました。また佐野先生(東邦大学)から特に肺癌診療とCOV-ID-19による重症呼吸不全に対する肺移植の話題が報告されました。さらに藤本先生(愛知医科大学)から,耳鼻咽喉科での取り組み・感染対策,気管切開術,若手医師の教育などについてご報告がありました。COVID-19が与えた影響を再認識するとともに,このような感染状況の中で,それぞれの施設で臨床に取り組んでおられるシンポジストの先生方の姿勢をお聞きして,勇気がでてくる内容でした。コロナ禍で進むワクチン開発の破壊的イノベーション 第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会は,大分大学呼吸器・乳腺外科学講座の杉尾賢二会長のもと,2021年11月11日,12日にウェブ開催されました。その後12月15日までオンデマンド配信が行われ,聞きのがした御講演も聴講することができました。ウェブ開催は,聴講者にとっては臨場感に乏しいこと,講演者にとっては現場の反応がわかりにくいことが欠点ですが,そのようなことを感じさせないほど企画は素晴らしく講演・討議内容が際立っていました。会員の皆様はこの2日間の学術講演会で多くの情報と刺激を受けとることができたと思います。 2020年から現在に至るまでCOVID-19パンデミックの状況は続いており,依然として世界中で猛威をふるっています。日本では10月から急速に感染者が減少しておりますが,11月末には新たな変異株の「オミクロン株」が報告され,再び危機感が高まってきています。本来,2020年に東北大学香取幸夫教授がご担当される予定でしたが,中止を余儀なくされ,1年間を置き,第72回大会の開催となりました。2021年8〜9月は日本中で医療が■迫し,筆者が在住する沖縄でも東京などの大都会よりもさらに感染が拡大し長期間の緊急事態宣言下におかれました。当初杉尾会長のご出身地である宮崎で現地開催予定でありましたが,このようなパンデミックの状況を鑑みて,ウェブ開催を選択されました。日本気管食道科学会総会・学術講演会のウェブ開催は,むろん初めてでありご苦労も多かったと拝察いたします。このような状況にもかかわらず,ウェブの利点を活用し充実したプログラムが組まれ,多くの方がアクセスされたとお聞きしております。ウェブ開催は,現地開催よりもトラブルが危惧されますが,大きな障害もなく素晴らしい運営が行われておりました。この印象記を執筆するにあたり,本195日気食会報,73(2),2022第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会 印象記

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