J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022特別講演1第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より抄録を再録し,講演の図表を提供いただいた。 2020年に発生した新型コロナウイルスによるパンデミックは猖獗を極めた。パンデミックの終息へのゲームチェンジャーとしてワクチンは重要な役割を担い,その重要性は増した。mRNAなどの新たな技術を使用したワクチンは既に医薬品開発において温故知新の革新的モダリティーとして成長し,将来はがんやアレルギー,生活習慣病,難病を含む各種免疫「関連」疾患に対する先進医療,先制医療の一翼を担うと考えられている。基礎免疫研究分野でも新たな潮流の変化が見られている。病原体の認識1)東京大学医科学研究所 ワクチン科学分野,2)医薬基盤健康栄養研究所 モックアップワクチンプロジェクト52機構の研究で勃興した自然免疫の領域では,宿主細胞自体のストレス,ダメージ,細胞死によって放出される宿主成分が,病原体に対する免疫反応やワクチンのアジュバントの作用機序の一端を担っていることが明らかになりつつある。本セミナーでは新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの開発や他の免疫療法の開発研究の成果,新規のワクチン,アジュバントの開発研究の成果,その作用機序,免疫学的意義に関する我々の研究室の新たな知見を発表したい。日気食会報,73(2),2022pp.52─53石井 健1), 2)コロナ禍で進むワクチン開発の 破壊的イノベーション
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