日気食会報,73(2),2022 第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会を終えて 2019年末に発生し,2020年に世界に蔓延した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックにより,2020年総会が中止になり,2年ぶりの開催となりました。COVID-19の蔓延状況から現地開催(宮崎市シーガイアコンベンションセンター)を断念し,完全webでの開催としました。今回の学会テーマは,「新たな時代の気管食道科学」としましたが,これは種々の技術革新や新規がん治療の開発などにより医療において新たな時代を考えることと,COVID-19ウイルスが直接の侵入経路となる上気道が本学会に係る重要な課題であることから,このテーマで種々のセッションを企画しました。 COVID-19の関連セッションとして,特別講演1「コロナ禍で進むワクチン開発の破壊的イノベーション」のタイトルで東京大学医科学研究所の石井健先生から,mRNAワクチンの開発と日本における課題を発表いただき,教育講演「今だからこそ,もう一度,感染対策を考える」のタイトルで九州医療センター感染症内科の長﨑洋司先生から,クラスター発生の経験からCOVID-19対策について講演いただきました。また,シンポジウム1「COVID-19時代の気管・食道・頭頸部外科─COVID-19が変えた診療─」では,各領域から現状と課題を提示していただき大変意義深いものとなりました。 一方,「Immuno-Oncology時代のがん治療」(シンポジウム2),「がんゲノム医療」(シンポジウム3),「画像新時代と手術」(シンポジウム5),「人工知能・ビッグデータを用いた研究」(ワークショップ2)などの新時代に関係するセッションを設けました。さらに,高齢化社会の問題として,嚥下障害,嚥下性肺炎,フレイルなどを取り上げました。特別講演2では,2021年の東京パラリンピック,女子走り幅跳びで6位入賞された大分県由布市出身の中西麻耶さんに「コロナ禍のパラリンピック─大分から世界へ─」と題し,ライブでの講演をいただき,その紆余曲折の人生や考え方に感銘を受けました。 一般演題には212題の応募をいただき,21題は上級プログラムに組み入れ,一般演題は191題となりました。ライブ配信からオンデマンド配信まで全体では800名を超す参加者があり,皆様方に感謝申し上げます。 なお,今回の会報では,演者の負担を減らすために,学会抄録をベースとして,発表スライドを追加していただく形式でもよいことといたしました。スライドを参考にして理解していただければ幸いです。お忙しい中,執筆いただきました先生方には厚く感謝申し上げます。 日 本 気 管 食 道 科 学 会 会 報 編集発行人 塩谷 彰浩編集担当理事 古川 欣也 大上 研二 室野 重之 門田 伸也編集委員 荒木 幸仁 大上 研二* 太田 正穂 唐帆 健浩 坂口 浩三 菅澤 正 高橋 典明 田山 二朗 中村 一博 堀口 利之 丸岡秀一郎発 行 所 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会 〒160─0004 東京都新宿区四谷1─11 陽臨堂ビル2階 電話・03─6388─9179 FAX・03─3356─4660 E-mail・jbes@kishoku.jp 【会 費】 年12,000円 【入会金】 2,000円製作/印刷 一般財団法人学会誌刊行センター/三美印刷株式会社ⓒ日本気管食道科学会2022 ●本誌掲載論文,記事の無断転載を禁じます(大分大学 呼吸器・乳腺外科学講座 杉尾賢二)第 73 巻 第2号 2022年4月10日発行202(50音順,*印委員長)編集後記
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