日本気管食道科学会会報 第73巻2号
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 一側性声帯麻痺に対する外科的治療として,甲状軟骨形成術I型と披裂軟骨内転術が行われている。これら二つの術式は,声帯の内転と声帯のレベル差の是正を行うことができる音声改善手術である。甲状軟骨形成術I型に用いるインプラント材料は原法では自家軟骨であったが,その後さまざまなインプラント材料と挿入法が試行され,近年新しい移植材料としてさまざまな形状のチタンプレートが使用されている。チタンプレートは適度な可塑性を有することから声の微細な調節が可能であり,また生体親和性が高いため長期留置での変性や変形も少ないとされる。横浜市立大学附属病院では,松島が報告しJ. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より再録1)横浜市立大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科,2)東邦大学大森病院 耳鼻咽喉科,3)横浜市立大学附属センター病院 耳鼻咽喉科67た甲状軟骨形成術I型専用のチタンプレート(1. 松島,日耳鼻118:1027─1036, 2015, 2. 松島,喉頭31:112─116, 2019, 3. Matsushima, Laryngoscope 130:2625─2630, 2020)を用いた甲状軟骨形成術I型と披裂軟骨内転術の前向き単群非ランダム化非盲検試験を行い,手術後の良好な音声改善が得られることを報告した(4. Sano, Laryngoscope Investig Otolaryngol 5:895─902, 2020)。本課題では,甲状軟骨形成術I型専用チタンプレートの薬事承認に向け,一側性声帯麻痺の治療法に関する本邦の現状を把握するために全国調査を行うことを提案した。日気食会報,73(2),2022折舘伸彦1),松島康二2),佐野大佑1),荒井康裕1),生井友紀子1), 磯野泰大3),和田 昂1),千葉欣大1),廣瀬 肇1), 3)一側性声帯麻痺の治療法に関する全国疫学調査学会臨床研究発表会

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