喉頭乳頭腫(再発性呼吸器乳頭腫症)は,低リスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)であるHPV6やHPV11が関与する難治性の疾患である。手術が一般的に行われるものの確立した治療はなく,さまざまな補助療法も実施されている。このような治療の現状に関して,学会員等の特定の医師集団を対象として調査した報告は国内外に散見する程度である。そのため,世界的に見ても「悩ましい疾患」の一つであると言える。また,その発症の疫学もよくわかっておらず,規模の大きなものは,やはりいくつかの国からの報告を散見する程度である。 日本における喉頭乳頭腫の疫学を明らかにし,治療の現状を把握するための一助として,2019年度の日本気管食道科学会の公募研究課題に採択され,J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より再録1)福島県立医科大学 耳鼻咽喉科68喉頭乳頭腫の全国疫学調査を実施する機会に恵まれた。日本気管食道科学会専門研修施設のみならず,日本耳鼻咽喉科学会の承認も得て,耳鼻咽喉科専門研修プログラムの基幹施設および連携施設も対象とした.両者に該当する189施設,前者のみ該当する54施設,後者のみ該当する540施設の計783施設へ2018年〜2019年の2年間における症例の有無と続く二次調査への意向を確認した。462施設(59%)より回答を得られ,症例があり二次調査の意向のあった施設は159であった。新型コロナウイルス感染症の広がりの影響もあって二次調査の開始が遅れているが,発表では集計しうるデータを提示する。なお,本報告は中間報告との位置付けとし,最終報告は次年度に行う予定である。日気食会報,73(2),20222019年度:喉頭乳頭腫に関する全国疫学調査室野重之1),川瀬友貴1),仲江川雄太1)学会臨床研究発表会
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