J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より再録1)国立病院機構九州がんセンター 頭頸科,2)がん研究会有明病院 食道外科,3)がん研究会有明病院 頭頸科,4)国立がん研究センター中央病院 頭頸部外科,5)埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科,6)大阪国際がんセンター 頭頸部外科,7)東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科,8)国立病院機構九州がんセンター 消化管外科69例,喉頭癌3例,気管癌2例,胸部食道癌1例で,組織型では,■平上皮癌が49例で最多であった。症例全体の生存期間中央値は709日,3年生存率は38%であった。再発症例は20例で,一次治療も含め前治療歴のある症例は24例であった。合併症は大血管に関連した出血,再建食道の縫合不全,感染症,皮弁壊死を認めた。30日以内の死亡症例4例を含め,治療合併症との関連が否定できないものが6症例であった。4.結語 頸部食道・下咽頭・喉頭領域を中心とした局所進行癌,およびその再発症例に対する治療成績としては一定の理解が得られるものと考えられ,他に根治的な治療手段がない中での選択肢の一つとなり得る。一方で治療関連と考えられる死亡が10%程度認められることからはリスクの高い手術であることが裏付けられた形である。手術方法の工夫で合併症発症率を改善できると思われるが,症例の選択が重要であると考えられる。日気食会報,73(2),20221.背景・目的 局所進行下咽頭・食道・甲状腺癌などの頸部・上縦隔病変に対し,上縦隔気管孔造設術(AMT)を併施する根治的な手術は,気管食道領域の手術の中でも最も侵襲が高いものの一つで,致死的な術後合併症の発生率,難易度ともに高い術式であると考えられる。一方,施設ごとのAMTの機会は限られていることが多く,本邦では,比較的少数例の報告が見られるものの,対象症例や手術の状況,合併症,治療成績などに関する情報は限られているのが現状である。2.方法・対象 日本気管食道科学会の承認の下,同専門医が在籍する施設を対象として,AMTの現状に関する後方視的な調査を依頼し,協力が得られた6施設からの症例情報をもとに解析を行った。3.結果 抄録作成の時点で収集された症例は55症例(男性47,女性8,年齢35─85歳・中央値66歳)。原疾患は頸部食道癌34例,下咽頭癌10例,甲状腺癌5藤 賢史1),渡邊雅之2),三谷浩樹3),吉本世一4),菅澤 正5),藤井 隆6),塚原清彰7),森田 勝8),益田宗幸1)上縦隔気管切開孔造設手術の現状に関する後方視的調査学会臨床研究発表会
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