日本気管食道科学会会報 第73巻2号
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n0001)埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科表1 CheckMate141試験と本邦のリアルワールドデータとの患者背景の比較年齢75歳≧PS2≧591120.4%5%24319%12.1%76129(23─91)12.5%21.2%69%(29─83)66(20─84)646612(39─79)18.4%G3≧のIrAE非SCC13.15.912.5記載なし12.580は0─1,十分な骨髄機能,腎機能,肝機能を有する症例とされている。非■平上皮癌や唾液腺癌や上咽頭癌は除外基準に含まれている。なお,本邦のニボルマブの添付文書の効能・効果には再発または遠隔転移を有する頭頸部癌,注意点には,プラチナ製剤を含む化学療法による治療歴のない患者に対する本剤の有効性および安全性は確立していないと記載されている。 CheckMate 141試験と,本邦のリアルワールドデータ4)と市販後調査5),宮城県立がんセンターにおける患者背景の内訳を表1に示す。実臨床においては,CheckMate 141試験の適格基準以外であるPS2以上,非■平上皮癌症例にも,ニボルマブが投与されていることがわかる。3.高齢,PS不良症例における有用性と安全性 本邦は,急激な高齢化が進んでいる6)。加齢には個体差が大きく,高齢者の定義もまちまちであり,WHOでは65歳以上が高齢者としているが,日本老年学会/日本老年医学会では,2017年に高齢者日気食会報,73(2),2022CM141以外ORR(%)の部位6525.3%24339.9%69.2%2911.3%記載なしOS13.37.5カ月15.79.5カ月6カ月OS55.1%3115.7カ月J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022シンポジウム2Checkmate 141240Hanai4)256Tahara5)608Miyagi65本稿は第72回日本気管食道科学会の抄録/会議録である。1.はじめに 再発・遠隔転移頭頸部癌では,プラチナ不応症例にCheckMate 141試験の結果よりニボルマブが,ファーストラインにKeynote048試験の結果よりペムブロリズマブが承認された1, 2)。いまや耐性機序に応じたICI同士の併用や,分子標的薬,殺細胞性抗癌薬や放射線照射などのほかのモダリティとの併用療法の治験が盛んに行われている3)。 また,2019年に本邦でも遺伝子パネル検査(Foundation one®,NCCオンコパネル®)が,2021年には血液を検体としたFoundation one® Liquid biopsyも保険償還された。遺伝子パネル検査に提出するタイミングなど,これまで以上に患者ごとの治療戦略を細やかに考えるべき時期に来ている。2. プラチナ不応再発・遠隔転移頭頸部癌における実臨床でのニボルマブ投与 CheckMate 141試験での主な適格基準は,口腔,中咽頭,下咽頭,喉頭,プラチナ製剤投与後6カ月以内に再発した■平上皮癌,年齢は18歳以上,PS頭頸部癌における免疫チェックポイント阻害薬と 臨床での使用,および今後の展望山﨑知子1)Immuno-Oncology時代のがん治療

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