日本気管食道科学会会報 第73巻2号
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1)大分大学医学部 消化器・小児外科,2)大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター109 3)PET/CT 転移診断だけではなくNACの治療効果判定にも有用である。NAC後のCR症例は,watch and wait戦略により手術が回避できる可能性がある。3.術中画像の進歩 1)3D・4K・8K画像 繊細な組織の構造を踏まえた緻細な手技に役に立つ。 2)ICG蛍光ナビゲーション画像 血流やリンパ流,さらには癌局在診断が可能である。 3)AIナビゲーション画像 解剖学的ランドマークをリアルタイム表示により手術の安全性が向上しうる。4.将来展望 術前および術中画像技術の進歩による「画像新時代」を迎え,手術の安全性や根治性など質の向上はもちろん,治療方針や手術術式の適切な決定にも,大いに発展が期待される。日気食会報,73(2),2022J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022シンポジウム5第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より抄録を再録し,講演の図表を提供いただいた。1.はじめに 画像診断技術の進歩により,術前の局在診断および質的診断がより正確になった。さらに立体的3D再構築画像により,気管支や血管の正確な解剖学的把握が可能となり,手術時のナビゲーションとして正確かつ安全な情報として活用できる。一方,手術画像の進歩も目覚ましい。3D・4K・8Kなど画像の質の向上に加え,ICG蛍光ナビゲーション,そしてAIを活用したナビゲーション画像の開発も進んでいる。本講演では,術前・術中画像に関するわれわれの取り組みを中心に紹介したい。2.術前画像の進歩 1)内視鏡画像 拡大内視鏡やNBI,BLI,超音波内視鏡を用い,精度の高い局所進展評価が可能となり,より適切な治療法の選択が可能である。 2)CT・MR 局所浸潤・転移の評価に有用であり,MDCT(3D-CT)による気管支動脈の走行確認やMRIによる胸管の確認は,安全な手術の遂行に有用である。猪股雅史1),鈴木浩輔1),柴田智隆1), 2)基調講演画像新時代における手術の進歩画像新時代と手術

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