可可近赤外光の帯域をカットした可視光と一緒に照射されるため照明切り替えの手間なく(部屋の電気消灯も不要)肉眼で直接蛍光部分が観察可能である。さらに,プロジェクタ位置は通常無影灯がある頭上にあるためハンドピース型の機器のようにカメラ保持するアームや助手が不要で術野が見やすいといった特徴がある。これらの特徴のおかげで,臨床的なメリットとして1)視線変更することなく蛍光部位を図1 MIPSのイメージ図国立研究開発法人日本医療研究開発機構ホームページより引用日気食会報,73(2),2022製品名PDE-Neo IIFluobeam 800*FluopticsVisera Elite IIVITOM 3DMIPS表1 赤外線観察機器の例近年,上記以外にもさまざまな機器が販売されている.*国内未認可機器製造浜松ホトニクスハンドピース760 nmOLYMPUSKARL STORZ外視鏡三鷹光器形態励起光波長光源LEDハンドピース750 nmレーザーN/AキセノンN/Aキセノン780 nmLED内視鏡スタンド型ユニット116術野上で観察できること,2)常時蛍光部位が観察できることで病変の見落としが起きにくいこと(必要に応じて蛍光カットも可),3)術野全体を記録できるため手術動画を後から見直す際に容易に再評価可能であること,4)強力な近赤外線ライトを有しており,他の赤外観察システムと併用できること,などがあげられる。 問題点としては1)AMEDで開発された機器という経緯があるために使用適応の制限が強く,頭頸部での使用には各施設の倫理委員会での承認が必要,2)現行の機器仕様では自家蛍光の観察は難しい,3)光源が一方向のため,適宜無影灯を使用しないと術野に影が生じることがある,4)設定項目が多く使用に慣れが必要,などがあげられる。 MIPSの当院での使用経験はまだ限定された数にとどまっているがPDE-Neo IIと同等の検出力があり,同システムが使用しているプロジェクション技術は従来の赤外線観察機器にない直感的な手術支援につながるものである。副甲状腺手術あるいは甲状腺手術時の副甲状腺温存といった環境で同システムを始めとしたナビゲーションシステムを活用すれば,手術侵襲を低減したり副甲状腺機能温存を容易にしたりすることにつながる可能性が考えられた。 本抄録/会議録に関連し,開示すべき利益相反関係にある企業などはありません。観察光波長オーバーレイ>820 nm不可>800 nm不可N/AN/A>820 nm可
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