表1 患者背景p valueJ. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022パネルディスカッション1反回神経麻痺の予防と治療Factor年齢(mean)性別占拠部位術前併存疾患(−)(+)pStage(UICC)0IIIIIIIV本稿は第72回日本気管食道科学会の抄録/会議録である。1)群馬大学大学院 総合外科学OEn=7667.54(8.83)64.97(7.58)65.67(7.67)0.251 7( 9.2)0.14869(90.8) 8(10.5)35(46.1)33(43.4)40(52.6)36(47.4) 013(17.1)23(30.3)38(50.0) 2( 2.6)FemaleMaleUtMtLtVATS-Ln=36 4(11.1)32(88.9) 6(16.7)20(55.6)10(27.8)20(55.6)16(44.4) 028(77.8) 6(16.7) 1( 2.8) 1( 2.8)1181月までの術前無治療で胸部食道全摘,3領域郭清,胃管再建術を施行された148例(OE(開胸群)76例,VATS-L(鏡視下側臥位群)36例,VATS-P(鏡視下腹臥位群)36例を対象に,反回神経麻痺を含む周術期データを比較検討した。3.結果 患者背景:患者背景は,年齢,性別,占拠部位,術前併存疾患で差はなかった。病理学的病期では,鏡視下手術導入初期は早期症例に限定していたため開胸症例で進行例が,また側臥位症例で早期例が多くなっている(表1)。 周術期データ:胸部操作時間(平均)は,OE 233分,VATS-L 320分,VATS-P 242分であり,VATS-Lは,OEおよびVATS-Pと比べ有意に胸部操作時間が延長していた(OE vs VATS-L:p<日気食会報,73(2),2022VATS-Pn=36 8(22.2)28(77.8) 5(13.9)21(58.3)10(27.8)22(61.1)14(38.9) 2( 5.6)15(41.7)12(33.3) 7(19.4) 00.3790.701<0.0011.背景と目的 食道癌手術における上縦隔郭清では,十分なリンパ節郭清と反回神経麻痺の予防の両立が求められる。鏡視下食道切除における反回神経麻痺の頻度は,28%〜48%との報告がある1, 2)。当科では開胸手術から左側臥位胸腔鏡下手術を経て,現在は腹臥位胸腔鏡下手術を標準術式としている。今回,反回神経麻痺に着目して術式別に治療成績を検討した。2.対象と方法 当科では,早期癌を対象とした側臥位鏡視下手術を2010年より開始し,安全性を確認した上で進行症例へ適応を拡大し,2016年より腹臥位を導入した。現在では,salvage症例も含めて,ハンドリングが困難と思われるbulky症例を除く全症例を対象としている。本検討では2010年4月から2019年酒井 真1),佐伯浩司1),渡邊隆嘉1),斉藤秀幸1),中澤信博1),生方泰成1),栗山健吾1),佐野彰彦1),小川博臣1),宗田 真1),調 憲1)食道癌手術における術後反回神経麻痺の検討
元のページ ../index.html#82