0.001,VATS-L vs VATS-P:p<0.001)。胸部出血量(平均)は,OE 255 ml,VATS-L 195 ml,VATS-P 50 mlで,OE,VATS-Lと比べ,VATS-Pで有意に減少していた(OE vs VATS-P:p<0.001,VATS-L vs VATS-P:p<0.001)。胸部リンパ節郭清個数(平均)はOE 23.8個,VATS-L 20.8個,VATS-P 27.5個であり,OEとVATS-Pでは差がなく,またVATS-Lと比較しVATS-Pで有意に増加していた(VATS-L vs VATS-P:p=0.029)。 術後合併症:術後合併症率全体では,OE 33%,VATS-L 36%,VATS-P 14%であり,VATS-Pで低い傾向にあるが有意差はなかった。また循環器系合併症,呼吸器系合併症ではVATS群が低値な傾向にあり,縫合不全はVATS-Pで少ない傾向にあるが有意差はなかった(図1)。 術後反回神経麻痺:術後7日以内に気管支鏡で確図1 術後合併症図2 術後反回神経麻痺119認し得た声帯麻痺や,嗄声を反回神経麻痺と定義して解析すると,反回神経麻痺はOE 25.3%,VATS-L 27.8%,VATS-P 30.6%と,わずかに上昇傾向であったが,有意差はなかった。VATS-Pで反回神経麻痺と判断された11例の食事開始日中央値は術後14日目(8─24日目),入院日数中央値は27日であった。11例中9例(81.8%)は経過中に嗄声の改善が認められ,一時的な麻痺であったと考えられた(図2)。 現在の左上縦隔郭清手技:反回神経麻痺の軽減を目指し,2019年4月より当科で施行している左反回神経周囲リンパ節郭清のコンセプトを示す3)。106recL郭清の際には,食道をテーピング,背側へ牽引後,大動脈弓の高さで気管左側から脂肪織を剥離し,臓器■内側に含まれる脂肪織を頸胸境界部まで連続させる。神経露出や食道切離前に本操作を高位まで施行することで,郭清組織腹側のワーキング日気食会報,73(2),2022
元のページ ../index.html#83