日本気管食道科学会会報 第73巻2号
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J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022パネルディスカッション2嚥下障害に対するチーム医療第72回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会予稿集より再録1)東北大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科129に年間約600名の嚥下障害患者の評価と治療を行っていた。週1回の嚥下カンファランスにおいて症例の検討と情報共有を行うとともに,診療科横断的な研究の実施,広報誌やHPの作成,入院患者の嚥下機能スクリーニングの樹立等の活動を行った。4.考察,展望 病院の公式な部門としてチーム医療を進めることで,以前と比較して嚥下診療に参加するスタッフを確保しやすくなり,診療,研究,教育の面で質量ともに活動が増加している。一方で病院の特徴から,診療は急性疾患や神経筋疾患,頭頸部腫瘍疾患を対象として評価,口腔ケア,早期のリハビリテーション介入,手術が中心となっており,長期的なリハビリテーション治療,老嚥に対する対応,嚥下障害の予防と機能維持といった嚥下診療で重要な要素に関して,発展途上にある。今後,近隣の施設や組織と連携を強めて,総合的に嚥下診療に取り組み,その内容をスタッフや学生の教育にも活かすことが,大きな課題と考えている。日気食会報,73(2),20221.目的 嚥下障害の診療では,患者の嚥下局所器官,全身状態ならびに社会的状況を把握して多面的に治療を進める必要があることから,多職種が連携するチーム医療が行われる。一方で嚥下障害の診療現場は,在宅,診療所,療養型施設・病院,回復期病院,急性期病院と多彩であり,それぞれの現場によりチームの編成や医療者の役割に特徴があると考えられる。今回,自身が所属する急性期病院(医育機関)の嚥下診療を要約して紹介するとともに,現状の課題を明らかにする。2.方法 東北大学病院嚥下治療センターの構成と活動内容を後方視的に要約し,評価する。3.結果 2019年7月に病院の共同施設として設置された同センターでは,耳鼻咽喉・頭頸部外科,歯科,リハビリテーション科,リハビリテーション部,歯科衛生室,栄養管理室,看護部と医科歯科連携を基軸とした各職種のスタッフが参加し,入院患者を中心香取幸夫1),太田 淳1),平野 愛1)嚥下障害に対するチーム医療: 急性期病院(医育機関)における活動

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