日本気管食道科学会会報 第73巻2号
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図1 多職種によるリスク患者の入院時拾い上げ栄養評価と嚥下評価の2点で全例スクリーニングを行っている.J. Jpn. Bronchoesophagol. Soc.Vol. 73 No. 2, 2022パネルディスカッション2嚥下障害に対するチーム医療本稿は第72回日本気管食道科学会の抄録/会議録である。淡海医療センター 1)頭頸部甲状腺外科センター・耳鼻咽喉科,2)リハビリテーション部,3)栄養科,4)看護部1.はじめに 驚異的な人口減少と高齢化の中,当院がある滋賀県草津市は全国でも稀な人口増加地域である。急性期病院の当院は施設からの救急搬送などで80〜100歳の誤嚥性肺炎による入院が多い。そのため2016年から病院全体で入院時にスクリーニングを行い,多職種による低栄養と嚥下障害リスク患者の拾い上げを行うことで嚥下障害患者への早期介入に取り組んでいる。今回,当院の多職種介入NST(Nutri-tion Support Team)嚥下チームの連携の現状について報告する。2.入院時の全例スクリーニング 当院のNST関連チームは3つあり,NST本体チーム,PEG(Percutaneous Endoscopic Gastrosto-my)チームそしてわれわれNST嚥下チームであ130る。2016年度から病院全体で栄養障害と嚥下障害症例の拾い上げのために全例スクリーニングを行い,リスクありと判断された患者は主治医を通さなくても該当するNST関連チームへの紹介と介入の依頼ができるシステムを構築している(図1)。 まず栄養面に関してのスクリーニングは,看護師が入院患者全員に入院時に簡易栄養評価法(MNA-SF; Mini Nutritional Assessment Short-Form)1),摂食機能療法初期評価を行い,栄養士は主観的包括的アセスメント(SGA; Subjective Global Assess-ment)2)を行う。MNA-SFで0─7点やSGAがC評価の場合,低栄養該当症例と判断され,早急にNST依頼が行われる。上記に該当しない症例もその後の経過で低栄養に該当しないか拾い上げを行い,栄養士が絶食1週間以上になった症例を,検査日気食会報,73(2),2022河本勝之1),森谷李吉1),武信真佐夫1),藤井太平1),安永雅一1), 石田侑希也1),西村瑞穂2),西村直子3),境佐知子4),北野博也1)当院における多職種介入NST嚥下チームの取り組み ─対象拾い上げの工夫とチーム対応─

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