日本気管食道科学会会報 第73巻3号
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図1 初診時喉頭内視鏡所見右声帯は傍正中位に固定していた.図2 初診時CT所見発声時に声帯の左右のレベル差を認め,吸気時・発声時ともに右声帯の固定を認めた.III.手術所見(a)吸気時(a)吸気時211差をともなった声門閉鎖不全を認めた。以上より甲状腺手術による右反回神経麻痺と診断し,音声改善目的にAA+TP1が計画された。 201X+1年Y月Z日にAA+TP1を施行した。手術は全静脈麻酔下に施行された。甲状軟骨の1/2の高さで正中より右側に水平皮膚切開を入れた。前頸筋群の正中から入り甲状軟骨へ到達し,甲状軟骨後縁に沿って甲状咽頭筋を切断し輪状甲状関節を開放して甲状軟骨を翻転した。梨状陥凹粘膜を剥離し,後輪状披裂筋を同定し披裂軟骨筋突起に到達し3─0ナイロン牽引糸を2本かけた。続いて甲状軟骨右側に5×13 mmの開窓をした。内軟骨膜は保存日気食会報,73(3),2022(b)発声時(b)発声時音声酷使の趣味:あり血液・血液生化学所見:特記すべき異常なし 初診時音声所見を以下に記す。GRBAS評価ではG3R3B3A1S1,最長発声持続時間(maximum pho-nation time:以下MPTと記す)は4秒,話声位(speaking fundamental frequency:以下SFFと記す)は128 Hz,Jitter係数は15.01%,Shimmer係数は22.79%,voice handicap index:VHIは59/120であった。 初診時喉頭内視鏡所見の吸気時を図1(a)に,発声時を図1(b)に示す。右声帯は傍正中位で固定していた。喉頭知覚障害と嚥下障害は認めなかった。初診時の喉頭CT所見の吸気時を図2(a)に,発声時を図2(b)に示す。発声時に声帯にレベル

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